<第1部:序章~印刷業界におけるM&Aの背景と需要>
はじめに
近年、ビジネス環境の変化や技術革新のスピードが増す中で、印刷業界も大きな転換期を迎えています。デジタルメディアの進化、消費者のニーズの多様化、人材不足による事業継承問題、そして新型コロナウイルス感染症の影響など、多角的な課題に直面しているのが現状です。そのような中、事業の成長戦略や後継者不足の解消手段として、M&A(Mergers and Acquisitions:合併・買収)の重要性が一層高まっています。
本記事では、印刷業専門M&A仲介「印刷業M&A総合センター」のサービス内容や特徴、その魅力や強みを中心に、印刷業界の課題やM&A市場の動向、売り手・買い手双方のメリットなど、幅広い観点から解説いたします。特筆すべきは、「印刷業M&A総合センター」が売り手企業から手数料を取らないというユニークなフィービジネスを展開している点です。本記事を通じて、印刷業界におけるM&Aの可能性や意義、そして同センターが提供するサポートの意義と強みを存分にご理解いただければ幸いです。
印刷業界の現状と課題
1. 業界規模の縮小と競合の激化
かつては大量印刷需要が安定的に見込まれていた印刷業界ですが、デジタル化やインターネットメディアの普及に伴い、紙媒体の需要は徐々に縮小傾向にあります。さらに海外の安価な印刷サービスの台頭もあり、国内マーケットは供給過剰気味になっている側面があります。そのため、価格競争の激化により利益率が下がり、経営的に厳しい状況に追い込まれる印刷会社が増加しているのが現状です。
2. 人材不足と後継者問題
少子高齢化は日本全体の社会問題ですが、製造業の中でも印刷業は比較的高齢化が進んでおり、後継者不足や技術継承問題が深刻な懸念事項となっています。高度なオペレーションスキルや営業力を必要とする一方、若手人材の印刷業界離れなどが相まって、事業の継続性が危ぶまれているケースも少なくありません。
3. 技術進歩への対応と設備投資の負担
デジタル印刷機の導入やITシステムの活用など、技術革新への対応に遅れをとると競争力の低下は避けられません。一方で、最新機器の導入には巨額の設備投資が必要となり、中小規模の印刷会社では資金調達の難しさがボトルネックになることもしばしばあります。
4. 垂直統合や新領域進出の必要性
多様化するクライアントのニーズを満たすためには、デザインやマーケティング支援、さらには物流・発送関連など、印刷工程以外の領域へのサービス拡張が求められています。印刷会社が単独でその領域を一から立ち上げるにはコストや時間がかかりリスクも高いことから、他社との連携やM&Aによるノウハウ獲得は極めて有効な選択肢となります。
M&Aによる課題解決の意義
こうした状況の中、印刷業界におけるM&Aは次のようなメリットをもたらします。
- 事業継続の安定化
後継者不足の場合、買収されることで社長や役員、主要スタッフの引退後も企業としての活動を継続できる可能性が高まります。 - 経営基盤の強化
新技術や設備、顧客基盤、営業力などを補完し合うことで、企業としての総合力が向上します。 - シナジー創出
企業同士の強みを掛け合わせ、新たな市場への参入や付加価値の高いサービス提供が可能になります。 - コスト削減
原材料の共同調達や物流コストの統合など、スケールメリットによるコスト削減が見込めます。 - スピード感ある事業展開
内部リソースだけでは時間を要する新事業の立ち上げやサービス拡充を、M&Aを通じて迅速に実現することが可能です。
印刷会社同士の合併や統合による規模拡大の一方で、IT企業や広告代理店など別業種との連携により新しい価値を創造する動きも活発化しています。このように、印刷業界の発展や生き残り戦略を考える上で、M&Aは非常に大きな意味を持つようになってきています。
印刷業M&A総合センターの誕生と役割
こうした印刷業界の課題を背景に誕生したのが、印刷業M&A総合センターです。同センターは印刷業界の事情に精通した専門家が集まり、業界特化型のM&A仲介・アドバイザリーサービスを提供しています。M&Aについては一般的な仲介業務だけでなく、印刷事業特有の設備や取引慣習、顧客属性などを踏まえたうえで、より実践的かつ現実的なサポートを行っている点が特徴です。
さらに大きな特徴として、売り手企業から手数料を取らないというビジネスモデルを採用していることが挙げられます。通常、M&A仲介会社は売り手・買い手の双方から手数料を徴収することが一般的ですが、同センターでは“売り手側はゼロ手数料”というユニークな方式を打ち出しています。
このビジネスモデルの背景やメリット、実際のサポート内容などについては、後述で詳しく取り上げていきます。
<第2部:印刷業M&A総合センターの概要と特徴>
売り手企業から手数料を取らない理由とは
印刷業M&A総合センターの最大の特徴は、売り手企業から一切の仲介手数料を受け取らないという点です。一般的なM&A仲介会社では、成約時にレーマン方式と呼ばれる手数料体系が用いられます。売却金額に応じて一定の割合(例えば5%や3%など)を支払う仕組みがほとんどで、売り手・買い手双方から収入を得るケースが主流です。
しかし同センターでは、買い手企業側から手数料を頂くことで収益を確保する形をとっています。その背景として、以下のような考え方があります。
- 後継者不足の深刻化に対する社会的使命感
印刷業をはじめ日本の中小企業全体で後継者不足が深刻な問題となっている中、できるだけ多くの企業にM&Aという手段を通じて“事業継続”の可能性を提供したいという思いがあります。売り手企業に金銭的負担を掛けないことで、M&Aを検討するハードルを下げたいという狙いです。 - 売り手企業が納得のいくM&Aを実現したい
M&A仲介手数料が高いと、売り手側は「相談するだけで損するかもしれない」と感じ、検討の余地を失ってしまう可能性があります。そこで手数料無料とすることで、より気軽に相談しやすい環境を整え、“売り手企業が本当に納得できるM&A”の成立を目指しています。 - 買い手企業にとってのメリットも大きい
売り手側にとってハードルを下げることは、結果的に買い手側にとっても魅力的な案件を見つけやすくなることを意味します。実際に豊富な売り手候補を揃えることで、買い手企業側には多様な選択肢を提供することができます。
印刷業界に特化した専門知識
印刷業M&A総合センターのもう一つの強みは、印刷業界に関する深い知見とネットワークを持っていることです。具体的には以下のような点が挙げられます。
- 設備や技術の理解
オフセット印刷やデジタル印刷などの方式ごとの特徴、印刷機器の種類やメーカーごとの違い、資材・用紙などの供給体制、色管理システムの運用ノウハウなど、印刷現場に精通したスタッフが多く在籍しています。これにより、売り手・買い手双方のニーズや強みを正確に把握し、最適なマッチングを実現しやすくなっています。 - 業界特有の商習慣や取引形態への対応
印刷業界には、長年の取引関係や与信管理、納期調整など独自の商習慣があります。これらのポイントを踏まえずにM&Aを進めると、成約後のトラブルや事業統合時の混乱が起きやすくなるため、業界特化の仲介会社に依頼するメリットは非常に大きいのです。 - 経営者同士のネットワーク
長年にわたる業界活動を通じて培った経営者同士のネットワークがあり、M&Aに限らず業務提携や取引先の紹介など、総合的なビジネスマッチングのサポートも期待できます。印刷業界で培われた信頼関係があるからこそ、交渉がスムーズに進むケースも珍しくありません。
豊富なデータベースとマッチング力
M&Aにおいては、売り手企業と買い手企業をいかに適切にマッチングするかが成功のカギとなります。そのためには、豊富な案件情報や企業情報を整理・分析し、相性の良い組み合わせを素早く見つける仕組みが欠かせません。
印刷業M&A総合センターでは、業界専門のデータベースを独自に構築し、企業規模や所在地、保有設備、主要顧客層、業務領域などの詳細な情報を蓄積しています。通常のM&A仲介会社では得られにくい“印刷業ならでは”の情報も多く保有しており、これが高精度のマッチング力に直結しているのです。
さらに、同センターではエリア別や印刷方式別など、多角的な切り口での案件検索・分析機能を整備しています。たとえば「関東圏の中型オフセット印刷会社を買収したい」という買い手ニーズがあった場合、瞬時に該当する売り手候補を抽出することが可能です。また、売り手企業側から見ても、「自社の強みを最大限に評価してくれる買い手企業」にマッチングされやすいというメリットがあります。
ワンストップでのトータルサポート
M&Aは契約の締結で終わりではありません。むしろ、成約後の事業統合や従業員の雇用維持、取引先への説明など、様々な課題が山積しています。特に印刷業の場合、設備や生産プロセスの統合、営業組織の再編など、専門的な知識が必要となる場面が数多くあります。
印刷業M&A総合センターでは、単に交渉や契約に関する仲介を行うだけではなく、成約後の統合作業や経営改善のサポートも視野に入れたトータルサポートを提供しています。具体的には、以下のような支援が含まれます。
- PMI(Post Merger Integration)の支援
組織文化の融合や、基幹システムの連携、店舗や工場のレイアウト変更など、具体的な統合プランの策定をサポートします。 - 人材育成・研修プログラムの提供
新しく加入する従業員に対して、印刷工程や営業手法などに関する研修を行うことで、スムーズな稼働開始を目指します。 - 専門家ネットワークの紹介
税理士・会計士、弁護士、労務士などM&A関連で欠かせない専門家との連携もサポートし、必要に応じて紹介を行います。 - ファイナンス支援
買い手企業側が設備投資や追加の資金調達を行う場合の金融機関交渉や、補助金・助成金の活用をアドバイスします。
印刷業界は製造過程が複雑であり、営業活動も特定顧客との長期取引が多いなどの特性があります。そのため、実際に業界に精通している仲介会社でなければ、成約後のフォローアップが十分に行き届かないケースが多く見受けられます。同センターではこうした事情を踏まえ、一貫したサポート体制で顧客企業を支援している点が、大きな差別化ポイントとなっています。
<第3部:M&Aの具体的プロセスと注意点>
ここからは、印刷業M&A総合センターが提供するサービスのプロセスや、M&Aにおける一般的な流れを踏まえながら、注意すべきポイントや成功の秘訣について解説します。
1. 相談・ヒアリング
まずは無料相談を行い、経営者の希望や現状の課題、企業の概要などをヒアリングします。印刷業M&A総合センターの場合、売り手企業からの相談は手数料が無料なので、初期段階での不安や疑問を気軽にぶつけることができます。ここでは、以下のような事項を確認することが一般的です。
- 会社の現状(売上、利益、従業員数、主要取引先など)
- 事業継承問題の有無(後継者がいない、後継者が経営を引き継ぐ意欲がないなど)
- 経営者の引退時期や今後のライフプラン
- M&Aを検討する理由(設備投資リスクの回避、技術・営業基盤の強化など)
- 希望条件(売却希望価格、従業員の雇用維持、企業理念の継承など)
2. 企業価値評価(バリュエーション)
次に、企業の価値を評価するバリュエーション作業を行います。印刷業においては、設備の稼働状況や取引先との契約形態、在庫管理など、評価すべき項目が多岐にわたります。印刷業M&A総合センターでは、業界特有の収益モデルや今後の事業展開の可能性などを踏まえたうえで、的確に企業価値を算出することを得意としています。
バリュエーションの結果は、売却価格の目安として利用するだけでなく、買い手候補との交渉材料にもなります。業界標準の指標だけでなく、企業の固有の強み(ニッチ市場での独占的地位や特許技術、特殊印刷など)を適切に評価することが重要です。
3. 買い手候補の選定とマッチング
企業価値評価が完了した後は、買い手候補となる企業を絞り込んでいきます。印刷業M&A総合センターが持つ膨大なデータベースを活用し、売り手企業の強みや特徴を最大限に生かせる買い手をピックアップします。買い手候補が複数いる場合は、それぞれと初期的な打診を行い、基本合意に向けた具体的な交渉へと進みます。
ここで大切なのは、経営者同士の相性や企業文化の違いなど、定量的な数値では捉えきれない要素です。印刷業M&A総合センターでは、経営方針や企業理念、経営者の人柄など、ソフト面も踏まえて最適なマッチングを提案します。
4. デューデリジェンス(DD)
買い手企業が一定の興味を示した段階で、**デューデリジェンス(DD)**と呼ばれる詳細調査を実施します。決算書や契約書類の確認はもちろんのこと、印刷設備の稼働率、機械の保守状況、主要取引先との契約条件など、印刷業特有の項目も綿密に調べられます。
ここで不備や問題が見つかった場合、買収価格の見直しや契約条件の再交渉が必要になることが多いため、事前の準備が極めて重要です。印刷業M&A総合センターのスタッフは、過去の事例や経験を踏まえ、企業の内部管理体制を強化するためのアドバイスも行います。
5. 契約締結とクロージング
DDが終了し、両社の条件が合意に至れば、最終的な売買契約を締結します。契約内容には、以下のような要素が含まれます。
- 売却価格
- 支払い条件(一括払い、分割払い、エスクローなど)
- 引継ぎ期間や就業形態(現経営者が一定期間アドバイザーとして残るかなど)
- 従業員の待遇や雇用維持
- 競業避止義務(売却後、同業他社で働くかどうかなど)
契約締結後の最終的な受け渡しプロセスを“クロージング”と呼びます。クロージングの段階では、株式や資産の引き渡し、正式な役員の交代、人事手続きなど、細かな事務作業が多数発生します。印刷業M&A総合センターでは、専門家や士業との連携を通じて、スムーズなクロージングをサポートします。
6. PMI(Post Merger Integration)フェーズ
成約後に待ち受けるのが、**PMI(Post Merger Integration)**と呼ばれる事業統合プロセスです。これはM&A成功の鍵と言われるほど重要なフェーズであり、以下のような点がポイントとなります。
- 組織文化の融合
買い手・売り手両社で異なる社風やルール、意思決定プロセスをどう統合するか。従業員のモチベーション維持を図りつつ、相互理解を促す施策が必要です。 - 設備統合や業務フローの最適化
印刷機器の配置を最適化し、重複する設備を整理することで、効率化やコスト削減を目指します。また、受注から納品までのプロセスを両社で共通化し、運用ルールを確立することが求められます。 - 営業戦略の共通化
お互いの顧客基盤や販売チャネルを統合し、新規市場へのアプローチや提案力の強化を図ります。 - システムの統合
在庫管理システムや会計システム、工程管理システムなど、基幹部分をどのように統合するかが大きな課題となります。 - 人材育成と研修
新しい体制での業務内容や役割分担を明確にし、必要に応じて研修やスキルアップを行うことで、組織全体の生産性を高めます。
PMIを疎かにすると、せっかくM&Aを成功させてもその後の統合が上手くいかず、効果を十分に発揮できないまま終わってしまうケースが少なくありません。印刷業M&A総合センターでは、印刷業特有のノウハウを活かして、現場の混乱を最小限に抑えながらPMIを成功へ導く支援を行っています。
<第4部:成功事例から見る印刷業M&Aの可能性>
ここでは、印刷業M&A総合センターを通じて実際に行われた成功事例のイメージをいくつか紹介し、印刷業におけるM&Aの可能性や効果を具体的にイメージしていただきます。
事例1:オフセット印刷会社同士の合併によるコスト削減と効率化
背景
A社は関東を中心に展開する中規模のオフセット印刷会社で、最新の印刷機を導入していたものの、取引先の需要減少や原材料コストの上昇に苦しんでいました。B社は近隣地域をカバーする老舗のオフセット印刷会社で、取引先との信頼関係は強いものの、設備が老朽化しており更新投資に悩んでいました。
M&Aの実施
両社とも後継者不足が課題だったことから、A社の経営者とB社の経営者が印刷業M&A総合センターに相談し、合併という形で事業統合することを決断しました。合併後はA社の最新設備をB社の工場に移設し、両社の従業員を再配置することで、生産ラインの効率化とコスト削減に成功しました。
成果
- 印刷生産性が約30%向上
- 設備保守や原材料の調達コストが削減
- 従業員の雇用維持と処遇改善を同時に実現
- 地域シェアの拡大と新規顧客開拓にも成功
事例2:デザイン会社による印刷会社買収で垂直統合
背景
C社はデザインやクリエイティブを得意とする会社で、主要クライアントにカタログやパンフレット、販促物のデザインを提供していました。しかし、印刷については外部のパートナー企業に依存していたため、品質管理や納期調整でトラブルが発生することがありました。
M&Aの実施
C社は印刷業M&A総合センターを通じて、近隣で生産設備を有するD社を買収しました。D社はオフセット印刷とデジタル印刷双方を扱っており、設備は充実していたものの、営業力やデザイン力が弱いことが課題でした。
成果
- デザインから印刷まで一貫して自社内で完結
- 納期の短縮や品質管理の向上により顧客満足度がアップ
- D社の営業スタッフがC社のクリエイティブ提案力を活かし、新規案件を獲得
- 相互の人材を融合させることで、クリエイティブ×印刷の新サービスを展開
事例3:IT企業との連携でオンデマンド印刷サービス強化
背景
E社はオンライン印刷システムの開発を手掛けるIT企業で、主に小ロット短納期のオンデマンド印刷を外部パートナーに依頼していました。しかし、急激な受注増加に伴い、パートナー印刷会社では対応力が不足し、顧客満足度の低下が懸念されていました。
M&Aの実施
そこでE社は、印刷業M&A総合センターの紹介で、F社というデジタル印刷専門の中小企業を買収。F社は最新のデジタル印刷機を保有しており、少量多品種の生産に強みを持っていましたが、営業力やオンライン集客に課題を抱えていました。
成果
- E社のオンライン集客力とF社の生産力を融合
- デジタル印刷による顧客ニーズへの柔軟な対応が可能に
- 短納期・少量多品種の需要拡大に対応し、売上が大幅に増加
- IT×印刷の新ビジネスモデル構築で、両社の企業価値が飛躍的に向上
これらの事例からわかるように、M&Aを通じて経営資源を最適に配置し、シナジーを最大化することで、業績向上や企業価値の向上を実現できます。印刷業M&A総合センターは、その過程で生じる数多くの課題に対し、専門的な知識と経験をもとに的確なサポートを提供しています。
<第5部:印刷業M&A総合センターを活用するメリットと利用手順>
1. 売り手側のメリット
- 手数料が無料
なんといっても最大の魅力は、売り手企業が仲介手数料を支払わなくて済むという点です。資金的な不安を抱える中小企業にとっては、コスト面のハードルが大幅に下がり、気軽にM&Aを検討できるという利点があります。 - 専門家による評価とアドバイス
業界特有のノウハウを持った専門家が企業の価値を適切に評価し、経営者の想いや背景をくみ取ったうえで、最適な売却戦略を提案してくれます。後継者問題や事業承継に悩む経営者にとって、心強いパートナーとなるでしょう。 - 豊富な買い手候補とのマッチング
印刷業界に精通した同センターのネットワークにより、買い手候補となる企業を幅広く紹介してもらえます。経営理念や社風、人材の相性など、定性的な要素も含めてマッチングを行ってくれるため、売却後も従業員の雇用維持や顧客との関係継続などを期待できます。 - 成約後の安心サポート
契約締結後のPMIフェーズにもフォローが入るため、引継ぎの段階で起こりがちなトラブルや混乱を軽減できます。印刷設備の統合や取引先への説明など、細やかなサポートを受けられる点は大きなメリットです。
2. 買い手側のメリット
- 豊富な案件情報
売り手企業から手数料を取らないモデルを採用しているため、同センターには幅広い規模・業態の売り手が集まりやすく、豊富な案件情報が集積します。ニッチな分野や特定地域に特化した印刷会社など、多様な選択肢から理想的な買収先を見つけることができます。 - 業界特有のリスク・注意点を踏まえた調査
印刷業界に慣れていない企業が印刷会社を買収する場合、設備や商流、顧客管理など独特のリスクに気づかないことがあります。印刷業M&A総合センターは専門知識を持っているため、買い手企業が安心して投資判断を下せるよう、十分なリスク調査を支援します。 - PMI支援による確実な統合
統合後の運営についても、業界事情に精通したスタッフがサポートするため、スムーズな統合が期待できます。買い手企業側が狙っていたシナジーを最大化し、早期に成果を上げることが可能となります。
3. 利用手順の簡単な流れ
印刷業M&A総合センターを活用する場合の基本的なステップは、以下のようになります。
- 問い合わせ・相談
- ウェブサイトや電話でまずは問い合わせをし、無料相談を予約
- 企業概要やニーズを簡単に伝える
- 初回面談・ヒアリング
- 専門スタッフとの面談を通じ、具体的な希望条件や現状の課題を共有
- 方向性の擦り合わせや大まかなスケジュール感を確認
- 企業価値評価・案件化
- 必要書類や経営データを提供し、バリュエーションを行う
- 買い手企業に紹介可能な状態(案件化)として準備
- 買い手とのマッチング・交渉
- 同センターのデータベースから適切な買い手候補を選定
- ND(秘密保持契約)締結後、企業情報開示や交渉を進行
- 基本合意書の締結・デューデリジェンス
- 条件面で概ね合意に至った段階で基本合意書を締結
- 買い手側による詳細調査(DD)を実施
- 最終契約締結・クロージング
- DD結果に基づき、最終的な売買契約や諸条件を決定
- 契約締結後に株式や資産の譲渡手続き、経営権移転を実施
- PMI支援・フォローアップ
- 組織統合や設備の最適化、人材教育などについて継続的にサポート
- 必要に応じて追加の専門家を紹介し、円滑な事業運営を実現
<第6部:よくあるQ&Aと注意事項>
ここでは、印刷業M&A総合センターの利用を検討する経営者や担当者が抱きがちな疑問点をQ&A形式で整理します。
Q1. 売り手企業から手数料を取らないのは本当ですか?
A. はい、本当です。印刷業M&A総合センターでは、買い手企業側から手数料を頂くモデルを採用しているため、売り手企業は仲介料無料でサービスを受けられます。初回相談から成約まで、一切費用を請求されることはありません。
Q2. 企業秘密や取引先情報が外部に漏れるのではないか心配です。
A. M&Aの進行では、**NDA(秘密保持契約)**を必ず取り交わし、センターや買い手企業が知り得た情報を外部に漏洩しないよう厳重に管理します。機密情報の取扱いには細心の注意を払っており、必要最小限の情報開示で交渉を進めるのでご安心ください。
Q3. どのような企業規模や業種が取り扱い対象ですか?
A. 同センターは“印刷業専門”と銘打っていますが、紙器印刷、パッケージ印刷、ラベル印刷、デジタル印刷、看板印刷など、印刷関連の幅広い業種に対応しています。規模は数名規模の小規模事業所から数百名の中堅企業までカバーしており、地域も全国にわたります。
Q4. 後継者がいてもM&Aは可能ですか?
A. 後継者がいる場合でも、事業拡大や設備投資リスクの分散、新規領域への進出を目的としてM&Aを検討するケースは珍しくありません。印刷業M&A総合センターでは、事業承継型のM&Aだけでなく、戦略的なM&Aにも対応していますので、目的に応じたご相談が可能です。
Q5. PMIフェーズで必要なサポートはどこまで受けられますか?
A. PMIは経営統合に欠かせない重要なプロセスです。具体的には、組織再編、業務プロセスの統合、システム連携、人材育成など多方面にわたりますが、同センターがもつ印刷業界特有のノウハウを最大限活用しながら、必要に応じて士業やコンサルタントとの連携も行います。
Q6. 相談はオンラインでも可能でしょうか?
A. もちろん可能です。コロナ禍以降、オンラインでの商談が普及していることから、ZoomやMicrosoft Teamsなどのツールを用いたオンライン相談・打ち合わせにも対応しています。遠方の企業や忙しい経営者にとっても負担が少なく、気軽にご利用いただけます。
<第7部:まとめ~印刷業M&Aの未来と印刷業M&A総合センターの役割>
日本の印刷業界は、デジタル化や国際競争、少子高齢化など多くの課題に直面する一方で、独自技術や信頼関係を武器に、付加価値の高いサービス提供がまだまだ期待される分野でもあります。こうした中で、事業承継や成長戦略の実現手段としてのM&Aは、その重要性を一層増しているといえます。
本記事で紹介した印刷業M&A総合センターは、売り手から手数料を取らないという斬新なビジネスモデルを掲げながら、業界特化型の専門知識とネットワークを活かして、多くの印刷会社の未来をサポートしてきました。
- 後継者不在の問題を解決する
- 新たな市場や技術を取り込み、事業拡大を狙う
- 組織力や顧客基盤を強化し、競争力を高める
こうした経営課題に対し、M&Aという選択肢は有力な解決策となり得ます。もちろん、M&Aは一朝一夕に成立するものではなく、企業価値評価や交渉、契約、PMIなど、多くのステップと専門知識を要します。しかし、印刷業M&A総合センターのような業界に特化した仲介会社と連携することで、よりスムーズかつ的確なM&Aの実現が可能になるでしょう。
最後に
印刷業界は「斜陽産業」と呼ばれることもありますが、実際にはパッケージや特殊印刷など、まだまだ成長の余地がある市場も多数存在します。また、IT・デジタル技術との融合で新たな価値を創造できる可能性も少なくありません。M&Aを通じて企業同士が補完し合い、高付加価値サービスを提供することで、印刷の未来を切り拓くことができます。
今、事業承継や経営戦略の一環としてM&Aを検討している経営者の方は、ぜひ印刷業M&A総合センターに相談してみてはいかがでしょうか。売り手企業は手数料無料というメリットを活かして、まずは情報収集や現状の課題整理からスタートするのも良い選択です。この記事が、印刷業界におけるM&Aの理解を深め、皆さまの経営に役立つヒントとなれば幸いです。